第 4 回は大貫駅を出発し、佐貫町、上総湊、竹岡と歩き、鋸山の手前の浜金谷駅にゴールするコース。毎回、コース設定は Google map で行っているが、徒歩で経路検索すると、車だと表示される国道 465 号ではなく、その東側を迂回し佐貫町に入るように指示される。コース変更しようとしても上手くいかない。それなりの理由があるのだろうと、Google map に従うことにした。また、上総湊より先は国道 127 号線を主に歩くことになるが、山が海岸線に張り出す地形のためトンネルが多い。とくに鋸山の先と岩井から富浦間に歩道のない危険なトンネルが多数あるようだ。悩むところだが、この部分はできるだけ迂回しようと思う。すると鋸山あたりの迂回路は鋸山登山となる。ちょっと時間がかかりそうなので、今回はあまり寄り道をせず、鋸山の手前の浜金谷まで歩くと決めた。


2023 年 1 月 18 日 8:45 分に大貫駅に到着、歩き始める。今日は曇り空、次第に晴れてくるという予報だ。海に向かって歩くと、大貫海水浴場の手前に「弟橘姫」の像があった。富津の名の由来は「布流津」で、これは古事記・日本書紀にある「都から東征に来た日本武尊が、走水(今の東京湾・浦賀水道)を渡る時に大嵐にあい、妃の弟橘媛が身を捧げて海の神の怒りを鎮めたことで、無事に上総国へ上陸できた(富津市ホームページ)」ことによるのだそうだ。

さて、ここから佐貫町に向かうが、海岸線に道路がない。一番、海に近いのが国道 465 号で、この道路と海との間の山の上に「東京湾観音」が立てられている。前述のように、国道 465 号のさらに東側を歩いたので東京湾観音は小さくしか見えない。内房線の電車からはより大きな像を見ることができる。東京湾観音の背中が見える。観音様は海の方向を向いているのだ。

山の中の道はこれといって見る物もなく面白くない。1 時間程で佐貫町に着いた。「佐貫」は「讃岐」から転じたもので、昔、四国の讃岐からの移住者が集まっていたため、この名がついたとのことである。

駅でしばし休憩語、県道 265 号を歩く。青堀以降、「房総往還」から外れていたが、再び古の道に戻ったわけだ。「新舞子海岸」の手前にかなり大きな神社があった。「鶴峯八幡神社」だ。ホームページよれば、「鎌倉時代にあたる建治 3 年( 1277 年)に鎮護国家、郷土の発展と住民の繁栄安全道開きの為、八幡宮の総本宮であります大分県 “宇佐八幡宮” よりご分霊を迎え祀られました神奈川県鎌倉の「鶴岡八幡宮」千葉県館山の「鶴ヶ谷八幡宮」当宮を合わせて『関東三鶴』と称され信仰を集めてまいりました」とのこと。お賽銭をあげ、旅の完遂を祈念した。

神社から少し行くと「新舞子海岸」である。広い砂浜で東京湾が見通せる。晴れていたら素晴らしい景色だろう。来た方向を見ると、遠くに「東京湾観音」が見える。1 時間前にはあの側を歩いていたのだ、と進んだ距離に驚く。

さらに南下し、国道 127 号線に入る。ここからは国道が「房総往還」になる。「上総湊」に入って、「上総湊海浜公園」の道標を見つけ、海の方向に曲がる。内房線の線路をくぐると、公園の駐車場に出た。写真は公園の案内図だが、ほとんど消えてしまっている。海岸線の砂浜が全部公園になっているようだ。砂浜に出る。ここも晴れていたら素晴らしいだろう。砂浜には釣りをしている人と私だけ。


国道 127 号線に戻り、竹岡方向に進む。国道を歩いていても面白くないので、湊川を越えたところで海の方に曲がってみた。すぐに「旧竹岡村の石碑」があった。ここから竹岡村に入るということなのだろう。さらに海の方に歩くと小さな神社がある。「住吉神社」とある。村の鎮守様なのだろう。あちらこちらでこういう神社を見かける。


再び、国道へ戻ってニコニコドライブインの横を通る。ここは食べログにも出ているところだ。入り口に貼り紙がある。今日は定休日らしい。更に国道を行く。道の左側の丘の上に綺麗な建物が並んでいるのが見える。別荘地になっているのだ。海側にも別荘地がたくさんある。さすが東京湾が一望できる場所である。

トンネルの手前左側に赤い鳥居が見えた。「燈籠坂大師の切り通しトンネル」の旗も立っている。ここは隠れた名所なのだ。富津市のホームページによれば、「燈籠坂大師は弘法大師が行脚中にそこで腰を休めたという口碑をもつ、東善寺(富津市竹岡)の飛地境内地です。切通しトンネルは、燈籠坂大師堂へと続く参道となっています。住職の話によると、手掘りの切り通しトンネルは城山(造海城=つくろみじょう)の尾根の関係で上り下りが急であったため、明治から大正と思われる頃に掘られたとされています。その後、昭和初期に地元住民により、鋸山の石切の技法を用いて切下げ工事を行い、現在の形になったとのことです。切通した部分と、トンネルの部分を合わせると100 メートルほどあり、高さは約 10 メートルとなっています。夏にはさわやかな涼風が吹き抜ける隠れた名所です」とのこと。

このトンネル、手掘りでよく掘ったものだと感心する。「鋸山の石切の技法を用いて」とあるが、鋸山同様、凝灰岩の「房洲石」で比較的軟らかいのだろう。このトンネルは燈籠坂大師堂への山門になっていて、トンネルを出て左側の坂の上にお堂がある。

太子堂のすぐ先のトンネル「城山隧道」の写真である。左側が車道で、典型的な昔のトンネルで逆U字型をしている。つまり、歩道のスペースがなく、歩行者にとってとても危険なトンネルなのだ。幸いここは右側に歩行者用のトンネルが作られているので問題はないが、この先、歩行者用トンネルのないものが多数残っている。

竹岡駅は国道より高いところにある。国道沿いにはヒカリモの発生地がある。洞窟の水面の藻が光に当たって黄金色に輝くので黄金井戸ともいう。確かに、洞窟内の水面は黄色の藻で蔽われていた。さて、この先のトンネルだが、打越隧道は半円形の新しいトンネルで、広い歩道を伴っている。だが、その先の洞口隧道は U 字型だ。幸い短いので走って通り抜けた。


この先の海側はずっと別荘地になっている。どんどん歩いて行くと、フェリーの乗り場に出た。ここはもう金谷である。電車の時間を調べるが40分くらいあるので、商業施設「the Fish」に入り、コーヒーを飲む。おお、疲れが癒える。ここからゴールの浜金谷駅までは 10 分もかからない。

金谷港から鋸山方面を臨む。岬の先には吉永小百合の映画「ふしぎな岬の物語」のモデルとなったカフェがあり、その先に長い歩道のないトンネルが続いている。今回はそこを避けて、鋸山に登る。荒々しい斜面はかつての石切り場だ。つぎはあそこを越えるのかとため息をつき、浜金谷駅にゴールした。歩行距離は 23.8 km だった。今日は午後天気になるとの予報だったが、残念なことに晴れ間が出てきたのは金谷に来てからだった。次回は青い海に期待しよう。




