全自動コーヒーメーカー

 

私は毎日コーヒーを何杯も飲みます。美味しいコーヒーが飲みたいのですが、かといって毎回、豆を轢いてドリップするのは大変です。ということで、自動で豆を轢いてコーヒーを抽出する「全自動コーヒーメーカー」を愛用しています。これまで使っていたのは、パナソニックの NC-A55P でした。

 これはとてもよく出来たマシンで、豆から美味しいコーヒーが作れます。ミルを自動で洗浄してくれるので、やることはペーパーフィルターのコーヒー滓を捨てるだけと、お手入れがとても簡単なのがいいです。味もそこそこですが、縦型のカッターミルなのでコーヒー豆を変えたときの味の変化がもう一つはっきりしませんでした。苦みは出るのですが、酸味がもうひとつ。もっと美味しいコーヒーが全自動で作れないものか? この願望を満たすために、今回ツインバードの全自動コーヒーメーカー CM-D465 を導入しました。このコーヒーメーカーはカフェ・バッハの店主田口護さんの監修を受け、田口さんのテクニックを機械化したものなのです。

 これを買うとき、デロンギの「マグニフィカ S」と迷いましたが、デロンギはもともとエスプレッソ用のマシンなのでエスプレッソはとても美味しいが、ドリップは「カフェジャポーネ」はあるものの、ファミレスのマシンの味だという記事があり、やはり本格的なドリップが飲みたいと思ってツインバードを選定したのです。

 ツインバード CM-D465 はパナソニックの NC-A55P とほんとに味が違うのか? 同じ豆から 2 機種でコーヒーをいれて、味その他を比較してみよう。これが今回のテーマです。

全自動コーヒーメーカー 左 パナソニックNC-A55P,、右 ツインバードCM-D465

比較テストの概要

つぎの 2 機種を比較します。

https://panasonic.jp/coffee/p-db/NC-A55P.html
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 NC-A55P は豆を轢いたあと、ミルの中にお湯を通して洗浄します。その結果、ミルに残る豆はゼロなのですが、CM-D465 は乾式ミルなので、ミルの中にコーヒー豆の粉が残ります。どのくらい残るのか計ってみると、2.1 g ありました。

 NC-A55P 付属の計量スプーンすりきり一杯で約 8 g のコーヒー豆が計れます。サーバーにはホットとマグカップの目盛りがあり、ホット 2 杯が約 220 cc、マグカップ 1 杯が 180 cc でした。マグカップ 1 杯で計量スプーンすりきり 2 杯(16g)、マグカップ 2 杯は 26g、マグカップ 3 杯は 34gとパナソニックの取り扱い説明書に書いてあります。

 一方、CM-D465 の取り扱い説明書によれば、付属の計量カップのコーヒー 1 cup は16 g、サーバーのコーヒー 1 cupは 150 cc とのこと。CM-D465 の計量カップの 2 カップは約 24 g、3 カップは約 34 gですから、パナソニックと似たような水準です。

 これらから、次の様な条件で飲み比べテストを行うこととしました。

  • テスト1 NC-A55P に合わせてマグカップ 1 杯程度のコーヒーをいれる。水量:180 cc、豆:約16 g。CM-D465はミルへ残る分、2.3 g を追加して18.3 gに。豆は珈琲問屋のブラジルNo 2。NC-A55P:リッチ、CM-D465:中挽き、83℃
  • テスト2 NC-A55Pに合わせてマグカップ 1 杯程度のコーヒーをいれる。水量:180 cc、豆:約16 g。豆は珈琲問屋のガテマラアンティグア。NC-A55P:リッチ、CM-D465:中挽き、83℃

テスト 1 の結果

 まず、コーヒーの抽出時間を測りました。パナソニック NC-A55Pは 6 分 20 秒、ツインバード CM-D465 6 分 37 秒ですから大差ないといっていいでしょう。どちらもグラインド時、抽出時にとてもいい香りがします。

 できたコーヒーは NC-A55P の方が熱いです。 CM-D465 では抽出温度を 83 ℃と 90 ℃の二通り変えられるのですが、今回は設定を 83 ℃としたからです。できたてのコーヒーは、NC-A55P:香り 3、苦み 3、酸味 1、うまみ 1。これに対して CM-D465 は香り 3、苦み 2、酸味 2。結構、採点が難しいです。どちらを先に飲むかによっても感じが変わります。

 しばらくして、順を入れ替えて採点してみました。NC-A55P はまだ熱い状態で、香り 2、苦み 1、酸味 1と変化。CM-D465 はかなりぬるくなってしまっていて、香り 3、苦み 2、酸味 2です。少し冷めたコーヒーを飲むと、NC-A55P は苦みがかなり強くなっています。実は、コーヒーの印象はコーヒーの温度によって相当変わるのです。温度が高いと苦みをあまり感じず、冷めてくると苦みを強く感じるようになります。

 飲んでいる時の温度が違うので、なかなか評価は難しいですが、NC-A55P は CM-D465 より苦みが強く、CM-D465 の方が酸味がでているような気がします。変化していくので余りよく分からないというのが実感です。使った豆が、酸味・苦みの小さいものだからかもしれません。

テスト 2 の結果

 テスト 1 と同じやり方で豆を変えて比較します。ガテマラアンティグアは上のように酸味が強く、苦みが小さな豆です。

 これはハッキリ違いが分かりました。「あれっ、薄い! それに香りがない」パナソニック NC-A55P のコーヒーを飲んだ印象です(香り 1、酸味 1,苦み 2)。それに対して、ツインバード CM-D465 は美味しい香り高いコーヒー(香り 3、酸味 3、苦み 2)になっています。

 冷めてくると NC-A55P はコーヒーらしい味がでてきますが、CM-D465 にかないません。CM-D465 で気になったのはプラスチック臭です。新しいのでかなり強い臭いがします。

まとめ

 温度と味の関係はつぎのとおりです。

  • 抽出温度が高いと苦み成分が多く抽出される。
  • 酸味成分は抽出温度にそれほど左右されない。
  • 抽出温度が 80 ℃〜 85 ℃ 程度では、酸味が強めのコーヒーが抽出されるようになる。苦み成分が少ないので酸味を強く感じる。
変化する味わい – 温度とコーヒーの関係 | コーヒードリッパー
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 つまりパナソニック NC-A55P は抽出温度が高いので苦み成分が多く抽出されるが、すぐに飲むとコーヒーの温度が高いので、苦みは消え、味が薄いと感じる。冷めてくると十分に苦みを感じることができる。これに対してツインバード CM-D465 は酸味・苦味ともに味わえる。CM-D465 はミルの掃除は必要ですが、豆を変えたときに十分その変化を感じとることができるたいへんよく出来た全自動コーヒーメーカーだといえます。

 CM-D465 の欠点はミルの掃除と保温時間が 30 分と短いところ。コーヒーの味を損なわないという点では保温時間は30分がいいところなのかもしれません。でも、何杯も飲もうとコーヒーを多く作っても飲もうという時には保温時間を過ぎて冷めています。毎回いれなおすのは手間なので、もう少し長かったらいいのにと思います。パナソニックの NC-A55P は保温時間が 2 時間です。

 

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