さて、いよいよ聞きくらべの結果である。前回「聴覚というのは当てにならないものである」と書いたのだが、やってみるとその差は歴然としていた。比較試験のやり方については昨日の記事を見て欲しい。
まず、シベリウスの交響曲である。
- 調音パネルなし、ガラス戸:ティンパニーの固い音が聞こえるのはいいのだが、音が混濁しているように思う。次第に楽器が増えてくると、音がごっちゃになってしまう。平板な感じに聞こえる。
- 調音パネルなし、カーテンを閉める:やはり平板である。1 より少し音が小さくなったように思うのは、カーテンによる吸音の効果か?
- スピーカ裏に調音パネル:おお、ずい分ちがうぞ! 音が明瞭になった。ひとつひとつの音が粒立っている。細部が聞き取れるようになった。この曲ではいろんな楽器の掛け合いが面白いのだが、1 や 2 ではその面白みが出ない。それぞれの音が明瞭に、定位されて聞こえないと面白くないのだ。曲がとてもドラマチックになった。
- スピーカー間にも調音パネル:あまり期待していなかったのだが、とても良くなった。音はより明晰になり、それぞれの楽器が区別できるようになり、いかにも競演している様子が楽しめる。
つづいて、モーツアルトの弦楽四重奏曲だ。
- 部屋が響いているという印象を受ける。定位がはっきりしない。チェロが左から聞こえたりする。
- カーテンによる吸音効果か、定位が幾分向上した。ときどき、フラッター・エコーが混じる。
- あっと驚く。ハーモニーがとても綺麗なのだ。各楽器の旋律の動きを楽しめるようになる。
- 細部がよりはっきりした。各パートが分離して聞こえる。美しいハーモニーだ。音楽が楽しめるようになる。
ずいぶん変われば変わるものだと思う。スピーカーやアンプにお金をつぎこむより、ずっと低コストでいい音が堪能できるようになる。ほんとに買ってよかったと実感できる。細部を表現できるようになった事で、「この曲はこんなにドラマチックだったのか!」と驚くことしきりである。
コンサートホールで音楽を聴く。どの席で聞くかによってかなり聞こえる音が違う。前方の席では、ピアノなどの音が直接伝わり、また演奏者もオケに負けないようにとガンガン弾くので、うるさい限りということも少なくない。これは苦痛でさえある。ただ、コンサートの場合には視覚もある。どの楽器を鳴らしているのかが目で分かる。さらには周りの雰囲気、空気がある。クライマックスでは、空気が震え、ホールというか天地が響動する。これは生でこその楽しさである。だが、生活の中で聞く音楽には「美しさ」と「楽しさ」を求めたい。「調音パネル」はそういう希望を叶えてくれるいいアイテムだ。

