千葉県ぐるっとウォーキング 第6回 岩井駅~館山駅

 第 6 回は岩井駅を出発し、危険なトンネルを避けるために海沿いの国道 127 号ではなく、峠越えの迂回路をとり富浦に抜け、大房岬(たいぶさみさき)を回ったあと、館山駅まで歩くコースである。途中の富浦で岩井富浦漁協直営の「おさかな倶楽部」で昼食をとることにしている。

 さて、2023 年 2 月 1 日は晴の予報。南風が入って暖かくなるとのこと。前夜、気象予報士さんが、「ほっとする様な陽気」といっていた。ところが、この南風がとても強く、海岸を歩く者にとっては大変な一日だったのだ。

 地図にあるように、富浦までのコースは富津館山道路と並行して走る山側ルートである。岩井駅には 9:22 に到着した。付近に伊予ケ岳、富山があるので登山の恰好した人が何人か降りた。国道を少し歩き、左折して山に向かう道に入っていく。前方に見えている山を越えていくのだ。

写真1 岩井駅
写真 山に向かう道

 しばらく歩くとトンネルに出た。車の通行が少ないのでゆっくり歩いて通行する。トンネルの中は灯りがないので足下に注意しながら進む。懐中電灯を用意しておけばよかったと思う。

写真3 木の根隧道

 更に進むと、道が分岐している。看板があった。左のトンネルを越えて進むと「岩婦湖」に出るようだ。行ってみようかとも思ったが、時間が掛かりそうなのであきらめて前に進むことにした。看板では桜の名所のようだ。ここには温泉旅館があったと記憶していたが、後で調べると 2 軒あったが廃業していた。この看板で、今歩いている道が「木の根林道」、さきほど通ったトンネルが「木の根隧道」だと知った。

写真4 分岐点の看板
写真5 岩婦湖への分岐 原田山隧道

 左側に富津館山道路が見える。

写真6 富津館山道路 とみやまトンネル出口

 歩くこと 1 時間。だんだん開けてくる。道の両側でソテツが栽培されていた。前方に富浦インターチェンジが見える。この道ももう終わりだ。道の右側に碑を見つけた。中央に湯殿山、右側に月山、左側に羽黒山の文字が見える。出羽三山だ。これは「出羽三山供養塔」である。この辺り(深名地区)にはたくさんあるという。出羽三山信仰が盛んだったのだ。

写真7 深名地区の出羽三山供養塔

 富浦の町に入る。役場の横を進み、JR の線路を越えて海へと進む。「原岡海岸」に出る。ここは以前にも来ている。コマーシャルなどにも使われ有名になっている結構長い木製の桟橋があるのだ。桟橋の中央部までが木製、それより先はコンクリート製である。風が強いのでかなり波が立っている。板の間から波が上に吹き上げてくる。先端まで行こうと思ったが、あまりの強風で吹き飛ばされそうになり、途中で引き返した。

写真8 原岡桟橋
写真9 原岡桟橋 その2

 いよいよ、昼食タイムである。「おさかな倶楽部」まで歩く。結構、混んでいた。定番の「まんぷく定食」をいただく。分厚い三種盛り、鯖の煮物、魚フライ二種がつく。ボリュームたっぷりで確かに満腹になる。

写真10 おさかな倶楽部
写真11 まんぷく定食

 店を出た。相変わらず強風だ。このあとどうしようかと悩む。岬に出ればもっと強い風が吹いているはずだ。しかし、ここまで来たのだ。前回来た時は大房岬の南側の海岸線を歩いていない。今回は是非そちらにも回ってみたい。ということで岬に向かって歩き始める。

 大房岬は浦賀水道に突き出た長さ 2 km の岬で自然公園になっている。駐車場の右側の坂を登っていくと分岐点に出る。近くに案内図がないので場所がつかみにくい。ともかく、運動園地に向かって進む。その先に第一展望台がある。

写真12 大房岬入り口付近の分岐点

 地図は下のようになっている。前回来た時は第一展望台、展望塔は行ったが南側には回らなかった。とこどころに地図を書いた案内版があるのだが、公園内は結構広く、道が分かりにくいので途中で断念してしまったのだ。今、地図をよく見るとビジターセンターが中央にあり、そこから放射状に道が出ているようだ。分からなくなったらビジターセンターに戻れば良いということなのだ。

写真13 運動園地のマテバシイの大木

 キャンプ場の方に回ると、面白い看板があった。「大房岬の要塞群」である。大房岬には日本陸軍が昭和 3 年から 4ケ年をかけて要塞群を構築したというのだ。実は大房岬は外国の軍隊の首都東京への侵入を防ぐために作られた「東京湾要塞」のひとつなのだ。館山の州崎などとともに、砲台が築かれていた。第一展望台もその砲台の跡だ。また、関連施設として、観測所、発電所、探照灯施設、弾薬庫などが作られていた。今回入ったのは探照灯施設だ。コンクリート造のかなり広い施設だった。岬内にさまざまな戦争遺産が点在しているようで、それらを時間をかけて調べてみるのも面白いだろう。だが、今回は館山を目指しているので、あまり時間をかけてはいられない。

写真14 要塞群の説明板
写真15 旧日本陸軍の要塞群(探照灯施設)
写真16 旧日本陸軍の要塞群(探照灯跡)

 第二展望台に出た。富津方面を振り返ってパチリ。

写真17 第二展望台から富津方面を臨む(中央右手は増間島)

 ビジターセンターに戻り、海岸に出ようと南芝生園地へ進む。その先、海岸に降りられるようになっている。強風が吹いており、波も高い。そこで見たのが下の写真。釣り人がいた。波を受けながら、根性で釣っていた。さらに、海岸園地に進むと絶景が広がった。息をのむばかりの光景。強風の中、ここへ来て良かったと思った。

写真18 南芝生園地の先の浜
写真19 海岸園地から見た絶景

 大房岬から南側の道を館山を目指して歩く。海岸線はずっと砂浜が続いている。

写真20 館山までの海岸線

 「ようこそ館山市へ」の看板。ここから館山市に入る。歩いて行くと前方にこんもりした山がある。きっとあそこに「崖観音」があるのだろうと推測したら、その通りだった。

写真21 「ようこそ館山市へ」の看板

「崖観音」は正式には「大福寺」という名前で、真言宗のお寺である。境内の船形山の中腹に観音堂があり、その中の祠に本尊の十一面観世音菩薩が刻まれている。階段で観音堂まで上がることができる。

写真22 崖観音

 更に進んで「那古観音」に行く。安房国札三十四観音霊場の第一番がこの那古観音で、第三番がさきほどの崖観音だ。境内には中心となる観音堂のほか、多宝塔、鐘撞き堂などがある。

写真23 那古観音観音堂

 また、崖には岩船地蔵(右)と竜王堂(左)があり、その前に大黒堂が建てられている。

写真24 大黒堂、岩船地蔵、竜王堂

 那古観音を出ると、あとはひたすら館山駅を目指して南下するばかりである。途中、北条海岸に立ち寄ったが息ができない位の風で歩いている人もいない。つぎに目指す州崎方面を見る。かなり距離があるように思える。

写真22 北条海岸から州崎を臨む

 ようやく館山駅に到着。電車までまだ時間あるので、東口にまわり「中村屋」さんでパンとコーヒーをいただく。あまりの美味しさに感激した。今回の歩行距離は 24.3 km、歩行時間は 6 時間 24 分だった。帰路、強風のため電車が徐行運転となり、帰宅が大幅に遅れた。

写真23 館山駅(西口)にゴール
タイトルとURLをコピーしました